クリスマス

クリスマスは、イエス・キリストの降誕(誕生)を祝うキリスト教の記念日・祭日である。「神の子が人となって生まれて来た事」を祝うことが本質である。12月25日がこれに当たるが、正教会のうちユリウス暦を使用するものは、グレゴリオ暦の1月7日に該当する日にクリスマスを祝う。

キリスト教に先立つユダヤ教の暦、ローマ帝国の暦、およびこれらを引き継いだ教会暦では日没を一日の境目としているので、クリスマス・イヴと呼ばれる12月24日夕刻から朝までも、教会暦上はクリスマスと同じ日に数えられる。

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世界のクリスマス

キリストの誕生の話に登場する場所や人物の人形を飾り付け、赤ん坊のキリストだけは24日から25日に日付の変わる深夜に登場する。このとき3人の東から来た王様は、離れた場所に置かれ、毎日子供達は王様を少しずつキリストの生まれる厩へと近づけて行く。1月6日に3人の王様はキリストに出会い祝う。子供達はこの3人の東から来た王様からのプレゼントを朝に見つけることになる。

キリスト教の中でもカトリックの影響の強いイタリア、ポーランド、フランス、スペインなどでは、クリスマスは12月25日に始まり、1月6日の公現祭(エピファニア)に終わる。クリスマスの飾り付けは23日頃に行う。24日はクリスマス・イヴとして夜を祝う。子供達がプレゼントをもらうのは1月6日である。イタリアのほとんどの地域ではプレゼントを持って来るのは魔女ベファナ(Befana)とされる。これらの国々でのクリスマス期間は12月24日から公現祭までで、飾り付けは1月6日を過ぎてから取り払われる。

オランダやドイツの一部地域などでは12月6日がニコラウスの日で、子ども達はプレゼントをもらう。ドイツでプレゼントを持ってくるのは北部ではヴァイナハツマン(Weihnachtsmann、「降誕祭の男」)、南部ではクリスト・キント(Christkind、「キリストの子」)と呼ばれている。プレゼントをもらえるのはそれまでの1年間に良い子だった子どもだけで、悪い子は石炭を与えられたり木の枝で打たれることになっている地域もある。

北欧のクリスマスはユールと呼ばれ、聖ルチア祭から始まる。古代ゲルマンの冬至祭の影響を色濃く残しており、ユール・ゴート(ユールブック)と呼ばれる、ワラで作ったヤギを飾ること、妖精がプレゼントを持って来てくれることなど、独自の習慣が見られる。また、クリスマスの時期は真冬であるため、小鳥たちがついばめるように、ユールネックという麦の穂束を立てる習慣もある。

イギリスではサンタクロース(Father Christmas)が12月25日にプレゼントを持って来る。米国では、イギリス流のクリスマスが一般的で、日本のクリスマスも米国流を受け継いでいる。またこの日には、クリスマスの挨拶にとクリスマスにちなんだ絵はがきやカード(グリーティングカード)を送る習慣がある。米国では、クリスマスプレゼントを家族全員で交換し合う習慣がある。外出するのは教会に行く時くらいで、家庭料理を味わったりするなど家族で過すのが一般的である。

欧米では、クリスマスの日にヤドリギを室内に飾り、その下で出会った男女はキスをしてもよいとする習慣がある。

近年米国では、宗教的中立の観点から、またユダヤ教の祭日ハヌカーがほぼ同じ時期であることもあり、クリスマスを祝わない立場の人に対して「メリー・クリスマス」の代わりに「Happy Holidays ハッピー・ホリデーズ」(「楽しい休日・祝日を」)の挨拶を用いる場合がある(ポリティカル・コレクトネスを参照)。1990年代後半から、政教分離の原則のもと、公的な空間に飾られたクリスマスツリーを「ホリデー・ツリー」と呼びかえるケースが出てきたが、キリスト教系の団体から批判を受けている。また、1960年代からアフリカ系アメリカ人の間で、クリスマスの翌日からアフリカ民族の伝統を祝うクワンザという行事を家庭で行うことが増えている。欧米諸国、さらに大韓民国、中華人民共和国香港特別行政区、同マカオ特別行政区では、クリスマスは法定祝日である。ヨーロッパでは12月24日(イブ)から1月1日(元日)までクリスマス休暇が続く。25日にはロンドンの地下鉄やバスが全線運休になる。
一方、アメリカでは25日と1月1日だけが祝日で、後は個人で各々有給休暇を取得して休むのが一般的である。軍も休暇となり基地やキャンプは閉鎖され、派兵中でない兵士達は自宅へ戻る。

オーストラリアなど南半球の国々では、クリスマスは真夏となる。そのためクリスマスパーティーは屋外やプールなどで開催されることも多い。

正教会圏に含まれるロシアでは、クリスマスは「冬祭り」、サンタクロースは「マロース爺さん」(ロシア語で、マロースは「吹雪」の意味)と呼ばれている。また、ロシアのクリスマスは1月7日である。

日本のクリスマスの歴史・行事

歴史

明治維新以前

1552年(天文21年)に周防国山口(現在の山口県山口市)において宣教師コメス・デ・トルレスたちが日本人信徒を招いて降誕祭のミサを行ったのが日本で初めてのクリスマスである。しかし、その後江戸時代に幕府がキリスト教を徹底的に弾圧したことから、明治の初めまでまったく受け入れられることはなかった。

明治時代

日本でクリスマスが受け入れられたのは、1900年(明治33年)に明治屋が銀座に進出し、その頃からクリスマス商戦が始まったことが大きな契機であった。

大正時代

大正時代になると、児童向け雑誌や少女雑誌の十二月号には、表紙をはじめとしてクリスマスにまつわる話や挿絵がたくさん導入された。1925年(大正14年)に日本で初めてクリスマスシール(結核撲滅の寄付切手)が発行される。

昭和(戦前)

1926年(大正15年)12月25日に大正天皇が崩御し、昭和時代が幕を開けた。戦前の休日法は当初から先帝祭を休日に定めていたため、1927年(昭和2年)3月4日に当時の休日法「休日ニ関スル件」が改正され、大正天皇祭(12月25日)が設定された。クリスマスの習慣は休日だったこの時代に広く普及したとされている。

1928年(昭和3年)の朝日新聞には「クリスマスは今や日本の年中行事となり、サンタクロースは立派に日本の子供のものに」と書かれるまでに普及していた。

昭和初期の頃、銀座、渋谷道玄坂から浅草にいたるまでの多くのカフェや喫茶店においてはクリスマス料理の献立を用意し、その店員はクリスマスの仮装をして客を迎えた。この様子を1931年(昭和6年)12月12日の都新聞は、「七千四百余のカフェと二千五百余の喫茶店に華やかにクリスマスが訪れサンタ爺さん大多忙を来たす」と報じた。

昭和(戦後)・平成

1948年(昭和23年)7月20日に「国民の祝日に関する法律」が施行され、大正天皇祭は休日から外されてしまったが、以降もクリスマスは年中行事として定着し、行事も盛大に行われるようになった。商業施設では早いところは11月上旬からクリスマスツリーが飾られ、クリスマスセール等が行われる。店内にはクリスマスソングが流れ、洋菓子店ではクリスマスケーキが販売される。街中では街路樹に豆電球(近年は省エネに配慮してLED照明)が飾り付けられる(イルミネーション)。庭のある家庭では、庭木などに電飾を施すこともある。商業施設などの場合、12月24日のクリスマス・イブにイベントなどを開くことがある。

イギリスおよび英連邦諸国では12月26日に使用人や配達人などにプレゼントを渡すボクシング・デーがあり、1月6日までをクリスマス期間ともしているのに対して、日本では12月25日を過ぎるとクリスマスの飾りが一転して門松などの正月飾り(日本の神道式)に付け替えられたり、小売店などでも正月準備用や大掃除用商品の陳列・販売が中心となる、BGMも「お正月」が流れる、という点が特異である。近年ではカウントダウンイベントが盛んになる12月31日深夜までイルミネーションがそのままにされているところも出てきている。

教会でのクリスマス

キリスト教会は一般に、キリスト教徒であるか否かに関係なく門戸を開いており、クリスマスのミサや礼拝に出席することは可能であり、クリスマスらしい特別(≒厳粛)な雰囲気を味わうことができる(掲示板に「クリスチャンでない方もお気軽に」と掲示が出る)。例えば東京都区部ならば、正教会のニコライ堂などで行われている晩祷・聖体礼儀や、カトリック教会の聖イグナチオ教会(上智大学キャンパスに隣接)のミサに出席し参加する事ができる。また、聖公会・プロテスタントの諸教会でも、信徒のみならず非信徒をも歓迎しているところが多い。また、クリスマスミサでは賛美歌を歌う。

なお、キリスト教では困っている人に対し、信者から募った寄付金をあげる行為は一般的であり、日本の教会にて行われるクリスマスミサでも、儀式中に出席者が寄付金を提供する事がごく当たり前に行われている(寄付を募る教会としない教会がある)。

家庭のクリスマス

日本人男女を対象とした2006年(平成18年)の統計調査によると、クリスマスは誰と過ごすか、との質問に対し「家族」との答えが約6割と圧倒的多数を占め、またクリスマスの過ごし方は「家でのんびりする」が群を抜いて1位(66%)となるなど、日本人がクリスマスを家庭で過ごす傾向が明らかになった。また子供たちにとってはサンタクロースがプレゼントを持って来てくれる嬉しい日である。

独身者(若年層)のクリスマス

1930年代から、パートナーのいる人にとっては着飾ってパートナーと一緒に過ごしたり、プレゼントを贈ったりする日となっている。1931年(昭和6年)には、パートナーのいない“不幸な青年たち”には方々のレストランが「一円均一」のクリスマスディナーを売り出すなどして歓迎した、とも報じられた(レコードがちょうど1円の時代。現在の相場に換算すると約3000円)。

2005年(平成17年)11月に行われた1都3県の20歳〜39歳の独身男女計474名のインターネット利用者を対象とした調査では調査対象者の約7割が「クリスマスは恋人と過ごしたい」と考えていると回答した。これについてイタリアの「ベネルディ」誌は2010年12月24日、『クリスマスの東京 愛を祝う』と題した記事で、“人口のわずかしかキリスト教徒がいないのに多くの人がプレゼントを交換しあうほか、男女の愛の祭りとなっている”と評したという。

家族と過ごす人、恋人と過ごす人、友人と過ごす人、家で独りで過ごす人など、クリスマスの過ごし方は様々である。

教育機関のクリスマス

クリスマス行事は幼稚園・保育所・小学校などでも行われることがある(通常冬休みの直前に行うため、12月24・25日ではないことがほとんどである)。祈りを伴った正式の形で行われるのはいわゆる“ミッション系”に限られている。

祝日化

クリスマスは多くの国で祝日となっているが、日本でも祝日にしようという話がある。平成時代において祝日にした場合は、天皇誕生日が12月23日であるため、両日に挟まれた24日が自動的に国民の休日と なり、3連休が発生する。年によっては21日から5連休となり、その後すぐに年末年始休暇となるため、(有給休暇などを上手く利用すれば)15連休前後の 長期休暇が取りやすくなるという利点がある。しかし、多くの企業にとって年末はいわゆる繁忙期・かき入れ時であることもあり実現の見通しは全く立っていな い。さらに、憲法が規定する政教分離の原則から、特定の宗教の記念日を祝日とすることは難しいとされる。ただし、昭和前期の大正天皇祭のように、休日が偶然に一致する可能性はあるが、同時にそうそうあることでもない。

キリスト教が後世に伝来した日本以外のアジア諸国でクリスマスを法定祝日とする国では、古くから信仰される宗教への配慮から、他の宗教の記念日もクリスマスと同等に法定祝日とする場合がある。

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